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だんご虫 |
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年中担任
鵜ノ木幼稚園の園庭には緑が多く、五月も中旬になると、だんご虫やバナナ虫など小さな虫がよく出没します。子ども達は葉っぱの上を見たり、小石の下を覗いたり・・・と、片手にビニール袋を持ち、一匹見つけるたびに歓声をあげながら夢中になって探しています。中でもだんご虫は一番の人気で、手の上でころがして丸めたり、歩かせたりと、飽きることなく眺めて楽しんでいます。虫が苦手だったおともだちも、この様子を見ていたせいか、いつの間にか手の上にのせられるようになり、虫探しの仲間入りをするようになりました。 そんなある日、ひとりの男児が「先生、だんご虫がたくさん死んでるよ!」とあわてながら伝えにきました。すぐに見に行くと、たくさんのだんご虫が靴で踏まれて可愛そうな姿になっていました。どうもQくんがやってしまったようです。いままであんなに楽しそうに遊んでいたのに、どうして??驚きと同時に悲しくなりました。 Qくんに理由をきくと、捕まえただんご虫を元の場所に戻すと、今度は他の友達に捕まえられてしまうから・・・と言うのです。最後まで自分のものにしておきたい、という気持ちが強く、そういう行動に出てしまったようです。しかし、小さな虫にも命があります。その場でQくんによく言って聞かせて注意しましたが、この件をクラスで話し合うことに決めました。 クラスでは、ひとりひとりに、だんご虫はどんな気持ちだったかな、もし自分がだんご虫だったら、と自分に置き換えて考えてみるようにさせました。すると、子ども達からは 「死んだらママにあえない」 「お話もできない」 「お菓子もたべられない」 ・・・と、たくさんの声が聞こえてきました。そこで、生き物の命はひとつしかないこと、その命を大切にしないといけないこと、それは小さな虫でも同じだということを、話して聞かせました。子ども達は神妙な顔で聞いていましたが、それからというもの、相変わらず虫探しをするものの、降園までには必ず元の場所に戻し、けっして踏んだりつぶしたりしないようになったところをみると、子ども達なりにわかったのかな、と思います。そう考えれば、子ども達に命の大切さを知らせるよい機会だったと思います。 子ども達に生き物を大切にする心が育ってくれれば、と願っています。 |
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