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「先生、ピアノ弾いて!」 |
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年中担任
私の担任するクラスでは、ピアノの蓋を開けると同時に 「先生、何弾くの?」 と子ども達が集まってきます。続いて、 「ニャニュニョの天気予報が歌いたい」「バスごっこがいい」・・・ と次々にリクエストが出て、大合唱が始まります。子ども達はみんな、歌が好きで、毎日大きな歌声が響いています。
夏休み間近のある日、自由遊びの時、 「先生、ヤッホッホ夏休みが歌いたい!」 とのリクエストから、いつもの様にピアノの周りで子ども達が歌いだしました。ピアノを弾きながら子ども達を見渡していると・・・P君がひとり暗い顔をしているのが見えました。どうしたのか尋ねてみると、 「先生、ぼくはこの歌を歌うと悲しくなるんだよ」 と一言。 「・・・だって、夏休みになったらみんなに会えなくなっちゃうって。だから悲しい気持ちになるんだ」 と説明してくれました。確かに、P君の言うとおり「こんにちは夏休み、さようならおともだち、ちょっとさみしくなるけれど9月になったらまた遊ぼう」という歌詞があります。 P君は年中からの入園でしたが、もうすっかり幼稚園生活に慣れ、おともだちに会えるのを楽しみに元気に登園してきます。それなのに、ずっとおともだちと会えないのはいや、というP君の気持ちはよく分かります。そんなP君に 「8月には夏期保育もあるし、またすぐ会えるよ」 と伝えると、周りの子ども達も 「私も悲しいけど我慢するもん!」「公園で会えるかもしれないよ!」 ・・・と口々に励まし始め、P君も 「そうか、じゃあ夏期保育までがまんするよ」 と笑顔になりました。
おともだちも幼稚園も大好き、というP君の思いが伝わってきたと同時に、歌の歌詞を理解し感じながら歌っているということに驚かされました。 日々確実に成長していく子ども達の姿を見るのは、保育者として本当にうれしいことです。 |
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