学校法人 雀村学園 鵜ノ木幼稚園

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はい、どうぞ

年少担任



 四月、入園式で新入園児の様子を見て、びっくりしたことがあります。正味四十分くらいの式でしたが、
「きちっと椅子に座って話を聞ける子がたくさんいるわね」
「落ち着いている子が多いわ」
「泣く子がほんとうに少ない」
…驚くやら感心するやらでした。

 でも、実際に幼稚園での生活が始まると、そうはうまくいきませんでした。
 入園後一週間たってようやく、幼稚園に着いた時から帰る時まで、いろんな場所で、泣きが始まりました。その状況になって何だかほっとしました。何事も初めての経験ばかりの幼児にとって、そして自分を上手に主張できにくい幼児にとって、泣くのは当然のことですから。連休前など、
「なんだ、いつもの年より泣きがすごいくらいかな?」
…という時もあったくらいです。でも、幼稚園生活のリズムに慣れてきたころ、不安がどんどん解消し、それにつれて泣きも減りました。


 Aちゃんは今でこそ、毎日元気に登園してくるのですが、四月は不安がいっぱいありました。
「うわばきが履けない」
「お部屋にひとりで入れない」
「はずかしくて、お話しできない…」
…その一つ一つのことでいちいち体を震わせて泣いていました。しばらくの間、担任の私と一緒に、何事もひとつずつやっていたのですが、ある日、時間をたっぷりかけてでしたが、ひとりで靴をはいたAちゃんに、
「わあ、Aちゃん、靴がひとりで履けたね!」
と声を掛けたら、Aちゃんがとてもいい顔でニッコリ。それがとても自信になったようで、次の日から別人になったように
「自分でやるよ!」
と、積極的になりました。今では一人で靴を履くのは当然ですが、担任の私やおともだちによく話しかけ、自分の意志を伝えられるようになりました。そして、私が園庭に出ようと思って靴を履き替えようとすると
「はい、どうぞ!」
と先回りして靴を用意してくれるほどです。


 Aちゃんに限らず、一学期の間に他児も大きな成長を見せました。これから二学期、さらに成長していく幼児をあたたかく見守りながら、保育を展開していこうと思います。

   
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