年中担任
鵜ノ木幼稚園の園庭の一画で毎年行なっている野菜の栽培。
今年もトマトの苗を植えて、トマトがどんな様子で大きくなるか・・・。みんなで一緒に観察をしました。今年はレタスも同時に育てることになり、幼児達は大喜び。
観察の度に、芽が出たり、花が咲いたり、・・・成長の変化を発見した幼児達はいろいろな表現で発表し合いました。野菜の成長にしたがって
「トマト、どうなったかな?」
「レタスは?」
とみんな興味が膨らんで行く様子。それはなぜかと言えば・・・試食があるからかも知れません。
小さかったトマトの赤ちゃんが大きくふくらみ、赤くなって来た頃、いよいよ試食の順番がまわってきました。お弁当のときに冷えたトマトを配ると、待ちきれない幼児達はすぐにパクリ!
「トマト、甘~い」
「いつも家で食べているトマトよりなんだかおいしい!」
私達保育者が感想を聞くより前に、みんな思ったことを話し喜んでいました。
そんな中で、A君は少しうかない顔をしていました。それは・・・トマトが苦手だったからです。でも、まわりのみんながおいしそうに食べている姿を見て、『どうしようか・・・』と食べるかどうか迷っている様子。少し見守っている間に、クラスではトマトのおかわり争奪戦開始。・・・と気がつくと、Bちゃんが
「A君がトマト食べたよ!」
と大きな声で言いました。A君は自分でトマトをひとつ食べ、嬉しそうな顔で
「食べられたよ」
と一言。クラスみんなで
「よかったね」
とA君に拍手。
しばらく日をおいて、二度目の試食。前回と同様に、おかわり争奪戦の勢いが大変で、すごいな、と思っていると、そのおかわり待ちの行列にA君が並んでいました。A君に
「おいしかった?」
と尋ねると
「うん、幼稚園のトマトは甘くておいしいよ」
A君にとって、幼稚園のトマトは、水をあげたり、成長の様子を観察して来たり、・・・と特別な思い入れがあったせいか、甘くておいしいと感じたのでしょう。
幼稚園でのいろいろな経験を通して、幼児達は自分の興味関心を広げるのはもとより、自分の可能性を広げたり、共感したり、と様々な成長をみせてくれます。私はこれからも、幼児の成長を促すように、幼稚園でいろいろな体験をさせられるよう、保育を考えて進めて行きたいと思います。
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