年長担任
小運動会で綱引きをやることになり、練習を始めました。
はじめはひとりひとりがばらばらで、「始め!」の笛が鳴る前から引っ張っていたり、綱の持ち方が分からずにただ上からにぎっているだけだったり、・・・と、いろいろな子どもがいました。
そこで、私達保育者が、持ち方や、全員で力を合わせないと勝負には勝てないこと、力を合わせるには掛け声を出すといいこと、その掛け声も元気がいいと力がよく出ることを、子どもたちに知らせ指導しました。すると子どもたちの中に少しずつ競争心が芽生え、やる気が見え始めました。そして何度か練習を重ねていくうちに、だんだん「綱引き」らしくなってきました。
そうした中で、子どもたちの中に、勝って大声をあげて喜ぶ子、負けてくやしがる子、負けたのを他の子のせいにする子、なだめる子、・・・いろいろな姿が見られるようになってきました。
綱引きの面白さが浸透したころ、三クラス対抗の「綱引き大会」をすることにしました。子どもの中から、最初「負けるからやりたくない」の声が聞こえてきたのには、思わず「あれ、どうしたのかな?」と首をかしげてしまいましたが、ある男の子が「そんなの、やってみなければわからないよ」と発言し、それをきっかけに「そうだ、みんなでがんばろうよ」とクラスが盛り上がり、気持ちがひとつになって勝とうとする意欲が湧き上がってきました。
当日は「エイエイオー!」の声も勇ましく、せいいっぱいがんばりました。結果は一勝一敗。これらの経験で、「勝負には勝つこともあれば負けることもある」ことを学び、「一人の力ではなくみんなで力を合わせないと勝てない」ことも知りました。そしてなにより、ひとりひとりがクラスの一員であることを自覚するきっかけとなりました。
ひとりひとりが個々の力を精一杯出し合って、みんなでひとつの物事にがんばる。そしてがんばった者どうしは認め合い、大切な仲間になる。こんな貴重な経験が子どものうちからできて、本当によかったな、と思います。
これからもいろいろな面で、当然個性も大切にしながら、またみんなで力を合わせてがんばることのよさも大切にしながら、子どもたちを指導援助していきたいと考えています。
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