年中担任
四月当初のことです。進級児の中でまわりの友達の遊びを傍観するだけだったり、泣きがみられるPちゃんがいました。その子どもは、「年少組の時に仲の良かったOちゃんと違うクラスになって寂しい」のと、「新しいクラスの子ども達とどうしていいかちょっと戸惑い気味」だったのです。
「自由遊びでは、クラスに関係なく遊んでいいのよ」
とPちゃんに話すと、とたんに元気になり、他のクラスに行ってOちゃんと遊んでいました。
他のクラスの仲良しさんと遊べることでそのときの心は安定しますが、自分のクラスに戻るとまた泣いたり…、というのが数日続きました。
あるとき、Pちゃんがひとりで折り紙で遊んでいたとき、クラスのQちゃんが
「何してるの?」
と声をかけ、Pちゃんといっしょに遊び始めました。はじめはびっくりしていたPちゃんでしたが、徐々になじみ始め、おはなしや笑い声が聞こえるようになりました。
そして、ある日。Qちゃんほか数人が一緒に遊んでいて盛り上がっているところにPちゃんがきました。Pちゃんは一緒に遊びたいなあという顔つきでしたが、何となくためらっていました。するとしばらくしてPちゃんは意を決したように
「い、れ、て」
するとQちゃんが
「いいよ」
と声をかけ、一緒に遊び始めました。
このことがきっかけになってか、Pちゃんはクラスの中にも仲良しが多くなっていき、自然に他のクラスに行く回数も減りました…。
大人の私達からみるとほんの他愛の無いことなのかも知れませんが、子どものPちゃんにとっては大きな葛藤だったと思いますし、それを大人の手助けなしで乗り越えられたことは、大変よい経験になったと思います。
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