年中担任
緑あふれる鵜ノ木幼稚園の園庭。その中に夏みかんの木があります。
夏みかんは園児の間で特に人気のある木です。子ども達はよく見ていて、長い間、黄色い大きな実をつけているのを知っています。「いつになったら食べられるんだろう」という思いに、私達保育者が「おいしく食べられるようになったら、自然に実が落ちてくるからね」とこたえます。その言葉を信じ、子ども達は夏みかんの観察を欠かしません。もはや、日課とさえなっている程。
そんなある日。
「先生! 早く来て。大変だー!!」
子ども達の声に驚き、急いでかけつけると、そこにはきれいな黄色の夏みかんの実が落ちていました。子ども達は目をキラキラ輝かせて、
「本当に落ちてきた!!」
「イエーイ!!」
「やったー!!」
・・・と、それはそれは大喜び。園長先生に報告して、クラスで食べることになりました。
待ちに待った試食。その味は、・・・まさに”天然”だけあって、かなり酸味が強く、レモン並みにすっぱい!! そんな夏みかんを子ども達はバクバクと食べ、あっという間に平らげてしまいました。あまりのすっぱさに身体を震わせ、大きな目をパチパチさせる子どももいた中で、出てくる感想は
「おいしーい!!」
「もっと食べたい!」
と、大好評。これにはとても驚きました。
そこで私は
「今、『すっぱーい』と感じたものは、皆のお肌をとってもツルツルにしてくれる力があるんだよ」
と言うと、またまた驚いたことに
「それ、ビタミンCでしょ!!」
とA君が即答。皆、聞きなれない言葉にはじめは首をかしげていたのですが、ビタミンC、ビタミンC、・・・と何人かがつぶやき続けるうちに「ビタミンC」が大流行。今ではお弁当の時間になると
「これ、ビタミンC入ってる?」
「○○ちゃん、これ食べないと、お肌ツルツルにならないよ!」
・・・などと話す子ども達でいっぱいです。偏食是正に大いに役立っていて、「夏みかんパワー」には驚かされつづけています。
鵜ノ木幼稚園ではほかに、栽培したきゅうりやミニトマト、木ではかりんや今年は期待大のくるみなど、その季節に合わせた様々な野菜果物を収穫、観察、試食する機会がたくさんあります。
こういった自然との触れ合う一つ一つの小さな経験が、子どもの成長にとって大きな力、財産となし得ていることを、大人となった今、改めて感じています。その面からも、夏みかんをはじめとする鵜ノ木幼稚園の緑、自然に、保育者の私は感謝しています。
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