年長担任
クラスではやっていること。毎年、クラスによって、子ども達によって、時間の経過によって、どんどん変わっていきます。今、私の担任するクラスではやっていること、それは何と言っても「鼓笛」です。
鵜ノ木幼稚園では、楽しみながら、心をひとつに合わせることの大切さを重点に、鼓笛をします。
春の小運動会、秋の運動会でそれぞれ1曲ずつ練習します。年長になり、リズムやメロディーで重要な位置を占める楽器を担当するのですが、それこそ「やっと僕達私達の番だ」と、憧れの楽器に触れる表情は本当に生き生きしています。
年長の楽器は、それまでのように簡単ではないのですが、子ども達は練習を何度も繰り返して、今年も小運動会では立派な演奏をすることができました。
例年だと子ども達はここでほっと一息、ちょっと鼓笛を忘れて他の遊びを・・・となるのですが、・・・気がつくと、自由遊びの中で楽器の演奏を取り入れて遊ぶようになっていました。
自分の担当以外の楽器に触れる子ども、自分の担当を更に練習する子ども、・・・取り組む姿はさまざまです。そんな中、A君が指揮者の役に興味を持ち始めました。
本来は指揮は園長先生がなさいます。何よりも難しいまとめ役。それをA君が真似て他の子どもに指示をしても、やはりうまくいかず、何度やっても演奏はすぐにバラバラになってしまいます。
「できるはずなんだけどなあ」自分を信じて疑わないA君は、保育者の私に助けを求めてきました。私はただ、それぞれの楽器のパートのあやふやな部分を口で歌ってフォローをしただけだったのですが、たったそれだけの援助で、子ども達は自分たちで作り上げた鼓笛の演奏を始めて成功させてしまいました。「心をひとつにして演奏する」目標を、子ども達は自分の力で経験し、初めはただ驚いていた様子でしたが、すぐに手をたたいて大喜びしていました。
その日から、役割分担は変わるものの、毎日毎日同じ遊びが続いています。自分を信じることで広がる可能性を子ども達に教えてもらいました。
今年は子ども達の希望で、例年よりも一月以上も早く、運動会での曲の練習が始まりました。子ども達は今、自信満々で鼓笛に取り組んでいます。この「自信」が、これから子ども達のいろいろな面にもよい効果を及ぼすのではないか、と思っています。
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